番組ディレクターより今週の一言
さあ、ついに公開が始まりました!『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』!今回は日本中800スクリーンという異様な公開規模になっていますが、皆さんどこでこの映画をご覧になっているでしょう?自分はすでに3回見ていますが、一番勧めたいのが東京新宿の歌舞伎町にある新宿プラザ劇場ですね。なぜかと言うと、ここは1作目の『レイダース/失われた聖櫃<アーク>』からシリーズ全作品を上映してきた正にインディにとっての聖地のような映画館だからです。実は自分にとっても人生を変えられたきっかけの映画館でもあります。
初めてここで映画を見たのは中学1年生の夏、友人に連れられて『エイリアン』を鑑賞したときのことです。当時、この劇場はディメンション150という上映方式を採用していて、湾曲した巨大スクリーンが客席を取り巻くような作りになっていました。入り口には巨大なシャンデリアがあり、これぞザッツ映画館!という迫力で、映画の面白さもあることながら、映画館と言う特別な空間の虜にもなってしまった訳です。その後、見たのが中坊にはちょっと早すぎる社会派映画の傑作『チャイナ・シンドローム』。この時は「あれ、何だか画面が小さい・・・何故なんだろう?」と不思議に思い、その後、当時熟読していた“ロードショー”で映画にはスクリーンサイズというものがあることも学びました。3本目に見たのが『007/ムーンレイカー』。ボンドファンには評価の低い一作ですが、ビスタサイズの『チャイナ・シンドローム』より横幅の広いシネスコサイズでの上映だったので、個人的には大満足でした。その次に見たのは『地獄の黙示録』。これは『エイリアン』と同じディメンション150だったので、もう大満足!さらにこの時は音響の素晴らしさというものも知ることができました。場内に新宿プラザの音響設備を解説した文章が展示してあり、同じ映画を地元の田舎の映画館で見た弟に「君は本当の『地獄の黙示録』を見てないよ」なんてふざけた講釈をしたことも思い出されます。
その後も『スター・ウォーズ/帝国の逆襲』など、錚々たる作品群を見せてくれた新宿プラザですが、ここで『レイダース』を見たときのことは生涯忘れられないほどインパクトのある“事件”でした。公開前の早朝試写会に当選し、千葉の家から始発電車で駆けつけたのですが、すでに劇場前には長蛇の列。自分もワクワクしつつ、その列に加わり、「あのルーカスとスピルバーグが組んだら、どんな映画を作れるのか?」と思いつつ、映画を見ました。そしてあっ!という間の2時間。10分か、そこらにしか感じなかった。そして我を忘れて拍手をしている自分がいました。周りもみんな拍手していました。きっと誰もが自分と同じように興奮し、感動し、将来の夢は映画監督だ!と思ったに違いありません。たまたまこの試写に同席した映画評論家の故・荻昌弘氏はこの時の状況を「新しい映画ファンの誕生だ!」とやや普段と違った興奮調でロードショーに寄稿していたことも忘れられません。
公開時には前売りを可能な限り買い、何度も見た『レイダース』。残念ながら、冬休みが空けた時、みんなの話題は『キャノンボール』と『エンドレス・ラブ』という当時、地方最強の2本立てに終始し、『レイダース』を見た人は圧倒的に少数派でした。でも歴史が『レイダース』の素晴らしさを証明し、今ではダントツの人気を誇るシリーズに成長!その後、新宿プラザはディメンション150を撤去し、入り口のシャンデリアもなくなって、ロビーは反射光のオシャレなライティングになってしまいました。名物だったスタンプも数年前の『スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐』上映時に一時復活しましたが、それもなくなってしまいました。でも、それでも新宿プラザの生み出す空間は巨大劇場ならではのものであり、昨今のシネコンでは決して味わえない体験をさせてくれます。
なんでこんなに新宿プラザのことを熱く話しているかというと、この劇場、新宿コマ劇場の閉鎖と共に、今年いっぱいで閉館になってしまうからなんです。無くなってから、あーだこーだ言っても始まりません。お近くのシネコンでとりあえず『インディ』最新作を見るのはいいでしょう。でももし、2回目を見るおつもりならば、是非新宿プラザに足を運んではくれないでしょうか?毎月1日と14日は1000円で入場できます。しつこいようですが、シネコンの隆盛で大劇場は閉鎖の一途を辿っています。新宿プラザが無くなったら、往年の巨大劇場の空気を放てるのはお向かいの新宿ミラノ座一館のみになってしまいます。極めて東京ローカルな話題で恐縮ですが、自分的には地方の方も足を伸ばすくらいの価値はまだこの劇場にあると思っています。数値的にはこの映画館より大きなスクリーンは珍しくないと思いますが、体感サイズは絶対こちらの方がオススメです。映画とは本来どのような形であるべきか、それがきっとお分かり頂けると確信しています。(飯塚克味)
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新宿プラザ劇場(東京都新宿区歌舞伎町1-19-2)が改修工事のために2006年11月24日から同年1 [続きを読む]
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